昨年末、山梨県北杜市で板屋根のふき替えの仕事やらせて頂いた。
このお宅はほぼ100%施主さんのセルフビルドで、とても素敵な木の家に仕上がっている。
もともと施主さんが施工された板ぶき屋根だったが、約25年が経ち、あちこちに傷みが出てきてふき替えが必要になった。
ただ今回は、ご自分で施工するのは体力的に厳しいということで、この仕事をさせて頂くことになった。
板ぶき屋根は他の素材と比べて軽く、見た目も美しく、また雨音を消してくれたり断熱の効果もあり、屋根材としてとても優れた素材だと思う。
唯一欠点があるとすれば、それは燃えやすいということ。
まあそれは板壁などの木造住宅全般に言えることで、住宅密集地や防火地域では、屋根や壁は不燃材でないと施工出来ない場合が多い。
もう一つ、コスト的にも他の屋根材と比べてちょっと不利かもしれない。
ごく一般的な屋根材をざっと安い順に並べると、①アスファルトシングル、②板金、③瓦、となるが、板ぶき屋根は②板金と③瓦の間の、③に近い辺りに入る。
耐用年数やメンテナンスのことを考えると、決して割安とはいえない。
それでも、あえて板ぶきにするだけの魅力が、この屋根にはあると思う。
僕も、もし自宅を建てるのなら屋根は板ぶきにしたいところだが、やはりコスト面で躊躇してしまう。
そこで考え付くのは、屋根全部板ぶきにするのではなく、場所によって他の屋根材と組み合わせるというもの。
デザイン的にも面白いものになるだろう。
今板ぶきに使われている材料は、ほとんどが輸入材だ。
レッドシダーという木を薄板に加工したもので、軽くて水にも強い。
日本のスギの、無節の赤身だけを集めたような素材で、日本の気候にも適している。
今回は、その板を一度防腐処理したものを使った。
そうすることで、板(屋根)の寿命を更に伸ばすことができる。
防腐剤にも天然成分のものがあるので、そういうものを使うと更に良いだろう。