今、富士見町で茅葺屋根の補修が行われている古民家がある。
ここを改修して食事を提供する店舗になる予定で、そのための工事。
私は母屋の改修には直接関わっているわけではないが、離れのお手伝いをさせてもらうことになり、ちょくちょく現場に伺っている。
ある日伺うと、屋根を補修するための足場がかかっていた。
こういうやり方もあるんだ。
うちも丸太足場をよく使うが、昔の職人さんの仕事、とても勉強になる。
ここから別の日。
茅は、近くに生えていたものを地主を探して許可を取り、お手伝いして下さる方々の協力で数カ所から集めてきたそうだ。
すごい。
表面の傷んでいる茅を取り除き、新しいものに差し替えていく。
当たり前だが、人手と根気のいる作業。
今の時代のスピードには合わないかもしれないが、後世に残したい世界に誇れる日本の伝統芸だと思う。
地域の伝統芸能やお祭りなど、人寄せのする派手なものはたとえそれが形骸化しているものであっても「伝統」とか「文化」と言って守る風潮があるが、本当に守らなければならないのは、こういった庶民の生活に直結していた、人々が日々の生活の中で育ててきた知恵や技術ではないだろうか。
ほんの少しだがこの素晴らしい建物に関する仕事をお手伝いさせてもらうことになり、昔の人の仕事に触れる機会を与えてもらい、とても嬉しいし同時に責任のようなものも感じている。