ちょうどその時、飯田の実家にいた。
木漏れ日に、日食で欠けた太陽の形がそのままくっきり現れていた。
ちょっと感動。
日食で思い出すのは、メキシコにいた頃。
図らずも日食に出くわした経験がある。しかも皆既日食だった。
その時のことを、以前HPで、こんな記事に書いていた。
(以下転載)
『今から20年以上前、メキシコシティーにいた時、偶然皆既日食を見ることが出来た。
時刻は午後2時ごろだったと記憶している。
その時刻が近づくにつれ、徐々に太陽が欠け始めた。だんだん辺りが暗くなり、太陽が完全に月の陰に隠れる頃には、昼間というのに真っ暗になった。そして、空にはなんと星が現れた。周りでは動物が騒ぎだすし、道を走る自動車はみんなヘッドライトを点灯。わずか数分だったが、突然夜が訪れ、そしてまた突然昼に逆戻り。何とも不思議な体験だった。
その時はきれいなリングを見ることが出来たが、無謀にも裸眼で観察した。まあ長くても数秒だったので、その後の影響はないと思うが‥‥。
その時、知り合いの人からわざわざ電話が掛かって来て、妊婦は絶対に直接リングを見てはいけないと忠告を受けた。
何故妊婦はだめなのか、それ以外の人は良いのか、その理由はよく分からなかったが、今思えば妊婦さんに限らず、観察には専用の器具を使うべきだと思う。
メキシコで日食を見るというのには、もう一つ別の感慨があった。
よく知られていることだが、マヤの遺跡は、太陽と月の動きを元に作られているものや、中には天体観測を目的に作られたものまであって、まさに日食などの天体の動きとはとても縁が深い。
マヤ文明の日食にまつわる逸話は数多くあって、かなり以前から日食や月食など、正確に予測できていたらしい。
そんなマヤの遺跡が数多く残るメキシコで、皆既日食を見ることが出来たのは、偶然とはいえとてもすごい事だったのだと思う。
その翌日、別の知り合いの人から、「皆既日食を見れただけでメキシコにいた価値があった」と言われたが、今思えば本当にそうかもしれない。』
(転載以上)
その日食に、再び、しかも日本で出会うことが出来た。
金環日食ということで、真っ暗になるということはなかったが、昼間なのに夜のように暗くなったあの感覚がよみがえってきた。
私たちは地球に生きている、ということを改めて実感できた貴重な体験だった。