10月2日(日)、東京の富沢建材さんで行われた左官講習会に参加してきた。
富沢建材さんでは毎年テーマを変えて左官講習会が行われていて、僕が参加するのはこれが3度目。
去年は都合が悪くて参加できなかったが、毎年必ず参加したいと思う講習会の一つ。
参加するたびに大きな発見や気づきがあり、大変勉強になる。
今回の講師は、世界でも活躍する若き日本の左官の代表・久住有生氏。サブタイトルは「次世代左官への提案」。
直接お目にかかるのは初めてで、とても楽しみにしていた。
午前中はスライドを使って、今まで久住氏が手掛けて来られた仕事を中心に話を伺った。
久住氏の考え方、仕事への姿勢、共感できる点が多かった。
特に印象に残った話、
・今の建築は、お金はかかっているが手間はかかっていない。
・人間一人一代で出来ることはたかが知れている。代々積み重ねてきたものが大事。
・自然の仕事・自然が作る造形美にはかなわない。
・技術が身に付くとつい見せたくなってしまうが、技術に走ると全体が見えない。
・海外でも日本でも、昔のものはとにかく良い。昔のものを修復しながら大切に使う文化が必要。
左官として一流の技術を持ち、更にその上を目指す姿勢には見習わなければならない点が多い。
そしてその向上心は左官だけでなく、建築全般、更には茶道や華道といった文化の面にも向けられていてる。
質疑応答で午前中の講座は終了。
午後からは正面のパネルを使って、現場の作業を再現。
先ず参加者全員がA4用紙に壁のデザインを描き、全員による投票で採用する絵柄を決める。
右の壁は稲穂のデザイン。
左側は雲のデザイン。
中央は材料の説明をする久住さん。
左の壁は茜色を意識して、弁柄中心の配合、一方右側は稲穂が実ったイメージで山吹色に仕上げる。
受講した全国の左官職人たちも加わって、現場さながら、壁を仕上げていく。
少し時間オーバーならがほぼ予定通りに2枚の壁が仕上がった。
今回はデモンストレーションということで、いつも久住さんがやっておられる仕事と比べて、より簡単な材料で出来る方法だそうだ。
それでもなかなかの完成度だと思う。
〆は富沢社長の閉会の言葉。
穏やかな人柄で、ユーモアもあり、紳士といった感じの富沢社長。
今回も左官集団「平成会」のバックアップでこの講習会が行われた。
最後にミーハーですが、記念写真を一枚。
左から建築家遠野未来さん、久住有生さん、そして私。
いつも以上に学びの多い富沢建材の左官講習会でした。