6月6日、7日に、京都府美山の「美山文化会館」で行われた左官講習会。今回のテーマは中塗り。
全国から100人ほどの左官職人が集まり、技術の研鑽に励んだ。
今回実演をして下さったのは、京都の左官山本忠和氏。
昨年篠山で黒漆喰磨きの講習でお会いして以来、もう何度も講習会で講師をしておられる方。
今回は、京都の若い左官職人さんがスタッフとなり、2日間司会進行や裏方として参加者の世話取りをして下さった。
加えて、各地で活躍されている左官の親方衆が、講師として指導に当たって下さった。
開会式で壇上に上がられた講師の面々。
そういう方々のバックアップがあって、これだけの講習会が運営されている。ぼくも左官講習会の常連になりつつあるが、講習会に行く度に講師の方やスタッフの方の熱意には、いつも感心させられる。
今回用意された土。チリ廻り、底埋め、切り返しと3種類の土が用意された。
これらは全て、普段山本親方が使っておられる土との事。
左官講習会の盛り上がりに呼応して、鏝を作っている加治屋さんも、様々な形で講習会に参加されている。
今回は販売コーナーもあり、同時に参加者が誰でも試し塗りが出来るように、4つの会社の鏝が5、6本ずつ置かれていた。それもまた素晴らしい事。
いよいよ山本親方による実演が始まった。
墨出し、チリトンボとノレンの打ち方、といった基本的なことから教えてくれる。
質疑応答を交え、いよいよ参加者の実技。
会場になった美山文化会館。外観も内部も素晴らしい施設だった。
山本親方の底埋めの実演。
この鏝さばきは、まさに神業。
初日の締めくくりに、山本親方と久住親方の左官トーク。
両氏の技術の高さと知識の豊富さには、いつも感心させられる。当然勉強も。
参加者はもちろん、講師の方々も熱心に耳を傾けていた。
2日目。この日は昨日中塗りをした板の上に、切り返しと言われるいわゆる中塗りの仕上げを行う。
山本親方の実演のあとそれぞれ板に向かう。
実は今回、ぼくもパネルを用意して行った。
ところが、満足な道具もないし、実技はあきらめていたのだが、いつも講習会でお世話になっている富沢建材の社長さんに背中を押されて、無謀にも中塗りの実技にチャレンジしたのだ。
講師の先生方が道具を貸してくれたり、親切に指導してくださったおかげで、何とかパネル1枚仕上げることが出来た。
やってみた感想は、難しいの一言。やはり経験がモノをいう世界。でもとても良い経験をさせてもらった。
下手くそで恥はかいたが、やってみた甲斐があった。
午前中でその作業が終わり、午後は、実際に中塗りと仕上げが行われている近くの現場に向かう。
文化会館から歩いて5分くらいのところにある、かやぶき資料館に隣接した敷地の中にある施設で、新築の建物がその現場。
そこで、講師の方々の仕上げ磨きの実演を見ることが出来た。
実際の現場で、仕上げの作業を見ることはめったにない。しかも複数の壁にそれぞれの技法で仕上げをしていくという何とも贅沢な仕事を拝見する事が出来た。
この建物自体も伝統工法で建てられていて、それもとても参考になった。
参加する度に、左官仕事の奥深さを体験することが出来る左官講習会。
特に今回は、実際に壁塗りを指導してもらって、今までとは違う経験をさせてもらった。
やはり職人は経験することが一番大事。そんな事を改めて感じた2日間だった。