基礎工事

建築の仕事をするようになって、最初に覚えたのは基礎工事だった。地元に戻って勤めた工務店が、基礎工事専門だったのだ。そこにいる間、重機の操作も覚え、普通の住宅の基礎工事はすっかり出来るようになった。
今では基礎工事を自分でやることはほとんど無いが、仕事柄、多くの現場で基礎工事を見ることがある。それぞれの工務店で使う道具や材料が異なり、当然ながらやり方も微妙に違う。現場でそんな職人さんたちの仕事を見ながら、こういうやり方もあるのか、と勉強になる時もしょっちゅうだ。
今までそれを生かす機会がほとんど無かったが、今回は予算の関係もあり自分で基礎工事をすることになった。基礎工事に関する知識や経験を生かす機会がようやくやってきたのだ、と前向きに考えよう。

以前から興味のあった基礎工事の工法に「コロンブス工法」がある。これは分厚い発泡スチロール材を敷き詰め、その上に基礎を乗せてしまうという工法だ。その上に立つ住宅は、大きな船の上に載っているのと同じで、地盤が弱い土地でも不動沈下もなく地震にも強いという画期的なものだ。
ただ石油系の材料を大量に使うのに抵抗があるのと、とても予算がかかるので今回は断念。
何か別の良い方法がないか、と探していたところに、知り合いの設計士から紹介されたのが「マイコマ工法」だった。
昔の建物の基礎にヒントを得て、玉石を並べて突き固める代わりに、独楽の形をした「マイコマ」を並べる工法だ。
それまでは、玉石を使うつもりで探したこともあったが、なかなか手に入らないのと施工に手間がかかるのであきらめていた。ところがこの工法なら、材料は安定的に手に入るし、施工も比較的容易、玉石同様理にかなっている。この製品を作っている工場も県内にあり、その点でも安心。
コンクリート製品というところが少し引っかかるが、現時点ではとても良い工法だと思うし、好条件が揃っている。ということで早速材料を取り寄せてみた。

基礎工事

約80個の「マイコマ」が到着。
直径が約30センチで、重さは20キロほど。

基礎工事

施工方法。
鉄筋で出来た型の三角の部分に専用の道具で穴をあけ、底にマイコマの先端を埋め、並べていく。
基礎工事

一つずつ、穴をあけては設置していく作業。
基礎工事

角に8つずつ並べてみた。
基礎工事

それを建物全体にバランスよく配置する。
本来は布基礎の下に帯状に施工するとの事だったが、予算の関係で数を省略。
基礎工事

そこに砕石を敷き、先ほど穴をあけた道具の先端のアタッチメントを交換して、コマの隙間に砕石がびっしり入るよう転圧していく。
基礎工事

全体に砕石を敷いて、転圧すれば終了。
施工指導に来てくれたメーカーの方が道具を貸してくれ、丁寧にやり方を教えてくれた。
この上に、普通に基礎工事をする。
こうした工事は、地盤の強い場所には必要ないが、この場所は地面を掘っても全く石がなく、大きなトラックが脇を通ると多少の揺れを感じたので、一応保険のつもりでやってみた。
予算があれば全体に施工するに越した事はないが、今回のように部分的な配置で、どの程度利くのかメーカーの方も興味があるとのこと。
基礎工事は後でやり直しが利かないのでとても大事だ。多少予算はかかったが、これだけで安心感がだいぶ違う。

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