子供の頃、周りでヤギを飼っている家がとても多かった。多くの農家ではヤギを飼い、彼らに土手の草刈を任せていたのだ。ヤギは丈夫で乳もたくさん出すし、その上草刈もしてくれる、とても重宝な動物だったのだと思う。何しろ今とは違い、物の無い時代だ。ヤギの乳は貴重な蛋白源だったはずだ。
うちの実家ではヤギは飼っていなかったが、親戚や友達の家にはヤギがいて、よく乳を飲ませてもらった。
以前セルフビルドの講習会で知り合った農業家の青年が、ヤギの乳をペットボトルに入れてお茶の代わりに持って来ていたことがあった。嬉しくなって少し飲ませてもらったが、とても懐かしい味だった。
ヤギを飼いその乳や肉を食べる文化は、日本では沖縄と信州の伊那谷に多かったと、以前何かの本で読んだことがあるが、果たしてどうなのだろう。ただその説に頷けるほど、以前は周りにたくさんのヤギがいた。
子供の頃はヤギだけでなく、身の回りに色んな動物がいた。
牛を飼っている家も多かったし、中には馬を飼っている家もあった。
それらの動物たちは趣味や娯楽としてではなく、仕事のため或いは食材として、実用に飼われていたのだ。
少年時代はよく鳥を飼った。インコや文鳥など篭で飼うものや、チャボやニワトリなども飼った覚えがある。
そんな少年時代を過ごしたせいか、いまだに動物が好きだ。
最近発見したのだが、富士見町の井戸尻考古館の駐車場の一角にはロバがいる。どこの誰が飼っているのかわからないが、おそらく考古館で飼育しているのだろう。
それを見つけた時はとても嬉しくなって、次の日には早速子供たちを連れて見に行った。
今までロバを飼っている人が近くにいたという経験はないが、ロバはおとなしくとてもかわいい動物だ。
子供たちにとって、小さいうちに動物たちと触れ合う事はとても良い経験になると思う。
命の大切さや動物愛護の精神を学校の教室で教えるより、動物の世話をしたり、その動物の乳や卵や肉を食べる事で子供たちは多くの事を学ぶはずだ。
昔は身の回りに多くの動物たちがいて、子供たちは遊びの中で自然と動物たちと触れ合う事が出来たが、今はそうした機会は大人が作ってあげないといけない。
うちの子供たちも、動物好きに育って欲しい。