ベーシックインカム

社会保険庁の不祥事は、日本の年金制度を根本から見直す良いチャンスだと思っていたが、結局お役所の名前が変わっただけで、仕組みの複雑さや国民年金と厚生年金の不公平感は相変わらず。折角巡って来た千歳一遇のチャンスをみすみす逃したも同然。ア~アという感じ。
それならいっそうのこと、消費税を20%くらいにして、北欧並みに高福祉高負担の国にした方がよっぽどましだ。そう思っていたら、最近ベーシックインカムなる考え方が、広まりつつあるのだという。

ベーシックインカムとは、様々な説明の仕方があるようだが、その時ラジオで聞いた説明がとてもわかりやすかった。
考え方としては、これから始まる子供手当てを子供から大人まで、国民全員に拡大したイメージ。国が国民全員に同じ金額を、一生涯支給する。
国民一人当たり、例えば年間80万円支給すると、約100兆円の予算が必要になる。ではその財源をどうするのか。
日本人が働いてもらう給与の総額は、約200兆円といわれている。そこで給与の半分50%をその財源に充てれば、決して不可能な話しではない。
でも普通に考えて、給与の半分を税金で持っていかれたら大変だ。ところが、この仕組みだとむしろ年収が増える人の方が多いのだ。
例えば、夫婦と子供二人の4人家族で年収300万円の家の場合。300万円の半分の150万円が税金でとられるが一人当たり80万円ずつもらえるので、150万+80万×4=470万円となり、170万円も年収が増える。
4人家族で年収600万円の家の場合、300万+80万×4=620万円となり、こちらも年収は増える。
一方、4人家族で年収1200万円の家は、600万+80万×4=920万円で、こちらは年収は下がる。
つまり、低い所得の人ほど年収は増え高所得者は年収が減る。それによって収入による格差が少なくなるというメリットが生まれる。
その他にも、収入を気にせず、好きな仕事、やりたい仕事に就ける。社会保障制度を簡素化でき、公務員の数を減らす事ができる。年金も必要なく様々な福祉制度もシンプルに出来る。など、メリットはたくさん考えられる。
一方デメリットとしては、きつい仕事、みんなが嫌がる仕事は、更に敬遠される。働かない人、労働意欲をなくす人が増える。などが考えられる。

この制度、今すぐ実現するとはとても考えられないし、仮にそうなっても、想像以上の悪影響を与える危険性もはらんでいる気がするので、今すぐ実現されても困るのだが、今までのように、行き当たりばったりで複雑になってしまった今の社会制度をリセットする意味で、みんなで検討するのはとても良いことだと思う。そうすることで、もっと良いアイデアが生まれるかもしれない。
いずれにしてもベーシックインカムという考え方、これからあちこちで注目され、話題にされるような気がする。

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