年始に飯田に帰った時、実家の母が言った。
「メキシコの布があるよ。」
「ほんとに!」
実家は昨年建て替えを行ったが、引越しの時に荷物の中から布の入った紙の包みが出てきたらしい。
「全部持って帰るよ。」
そう言って持ち帰ってきた。
メキシコの布というのは、正確にはグアテマラの布だ。
もう10数年前になるが、メキシコに住んでいた時グアテマラにはよく行った。10回以上は入国したと思う。
目的はビザの更新やスペイン語の勉強などだったが、そこで出会ったのがグアテマラ織りの布だった。
グアテマラに行く度に織物の産地に通っては、市場などでたくさんのグアテマラ織りの布を買った。そのほとんどは実家に送ったのだが、人にあげてしまったりしてもう残っていないと思っていた。
それが突然目の前に現れたのだ。
枚数にすると10枚ほどで、手の込んだ良い物はもうほとんど無かったが、その織物を見て懐かしさがこみ上げてきた。
最近アメリカに住む友人が、グアテマラ人の若者と仕事をしているとかで、グアテマラのことがよく話題に上るようになった。
タイムリーなグアテマラ織りの発見で、なんだかまたグアテマラに行ってみたくなった。