4月、シャロムのパーマカルチャー塾で、講師として来ておられた森谷博さんと久しぶりにお会いした。
森谷さんはかつてテレビのディレクターをしておられたが、今はパーマカルチャーの実践家として活躍されている。シャロムのパーマカルチャー塾にも、講師として度々来ておられ、今年も夏にもう一度講義があるそうだ。
僕が最初に森谷さんとお会いしたのは、今から4年ほど前、共通の友人の結婚式で、やはりシャロムでだった。
今回少しお話をさせてもらったが、その中で紹介して下さったのが、表題の『逝きし世の面影』渡辺京二著(平凡社ライブラリー)という本。
この本は、江戸時代末期から明治にかけて、日本にやってきた外国人によって残された記録から、当時の日本人の文化や生活様式を見つめ直した大著である。
まだ読み始めたばかりだが、これがとても興味深く面白いので、ここで紹介しようと思った次第。
僕が以前から興味があったのが、昔(特に江戸時代前後)の一般市民の住居や暮らしがどんなものだったかという事。
江戸時代前後に建築されて、今尚残っている建物というのは、金持ちの家や社寺ばかりで、一般庶民の家というのはまず残っていない。理由は簡単で、積極的に保存されなかったという事と、何より壊れやすかったという事が大きいと思う。
その頃、一般庶民が暮らした家は、石や木や土や藁など、身の回りにあるもので作られていたはずで、何十年ももつような建物ではなかったと想像できる。
でもだからこそ、その当時の大多数の人たちが、どんな家に住みどんな暮らしをしていたのか、知りたいとずっと思っていた。
逝きし世‥‥で書かれているのは、江戸時代末期から明治時代のことが中心だが、庶民の暮らしぶりが活き活きと描かれていて、とても興味深く読むことが出来る。
森谷さんはディレクター時代、アマゾンの原住民の集落を取材され、それ以来アマゾンの奥地を訪ね記録に残す作業をライフワークにされている。
その活動は、逝きし世の面影で、当時の日本人達の生活や風習を、外国から来た人々が驚きと感動の目で書き残していることと相通じるものがあるのだそうだ。
今年は横浜開港150周年という事で、ラジオでもこの本を取り上げているところがあった。
その時代の、私達の先祖である日本人の暮らしに興味のある方には、お勧めの1冊だ。