11月10日(月)に行う予定の、瀬戸漆喰講習会に向け、こつこつサンプル作りをやっている。
この日は、瀬戸漆喰下地に土の仕上げ塗り。
今、左官屋さんが忙しくて手伝ってもらえないので、やむを得ず自主施工。
なかなかうまく塗れなくて、スッキリしない思いを抱きつつ、それでも土が持つ素材の魅力一杯のサンプルが幾つか出来あがった。
これまでの常識では、竹木舞に土壁を厚く付け、中塗りで下地を作り、漆喰で仕上げるという壁が、いわゆる「土壁」の主流だった。
ところが、手間や工期がかかること、強度不足や防耐火の認定取得の遅れなどの理由から、今ではほとんどする人がいなくなってしまった。
確かに手間は掛かるが、技術的には決して難しい工法ではなく、調湿や蓄熱など、壁としての性能もこれ以上ないというほど優れており、機会があれば是非やってみたい工法だと思っている。
それでも強度や耐久性などの点で、欠点も認められ、現代の住宅にそのまま取り入れるのがためらわれるのも確かなのだ。
そこで今回試してみたサンプル、逆転の発想で、木摺り下地に瀬戸漆喰を塗り、その上に土壁で仕上げるというやり方。
瀬戸漆喰の可能性を広げる仕上げのやり方で、かなりメリットがあると実感した。
このやり方が優れていると感じた点をいくつか挙げてみよう。
①下地が強いのでひび割れがおきにくい。
②漆喰の水に弱いという欠点を、表面の土壁が補ってくれる。
③塗り替えの時、表面の土のみ塗り替えが可能。
④竹木舞ではなく木摺り下地なので、工期短縮が可能。
⑤土壁程の厚塗りではなく、乾燥期間の短縮にもつながる。
⑥土壁程ではないが、漆喰の調湿・蓄熱効果が期待できる。
⑦耐火・準防火認定での施工が可能。
⑧断熱材も入れやすく、工法選択の幅が広い。
等々。
瀬戸漆喰に色を付けたいという問い合わせはよく頂くが、漆喰下地の上塗りで色土を使うというのは、一つの選択肢として有力な方法だと思う。
試せば試すほど、やればやるほど可能性が広がる建材「瀬戸漆喰」。
皆さんもいろいろ試してみてください。