製材所

子供の頃の話。小学校低学年頃だったと思う。実家のすぐ近くに森林組合の事務所があった。そこには子供の背丈ほどもある大きな丸ノコの製材機があり、広い敷地には太くて大きな丸太もゴロゴロしていた。駐車場には1本の栗の木があり、秋になると実をつけてそれを拾いに行くのが楽しみだった。

時代が変わり、そこが森林組合の事務所機能だけを残して、製材をすることはなくなった。ただ、広い敷地に製材所の名残のレールや刃を取り外した製材機が残されていて、しばらくは子供の遊び場になっていた。仲間と一緒に製材機に乗って、ターンテーブルで90度方向転換するのがなんとも快感だった。そんな記憶があるからか、製材所が大好きだ。今でも製材機が丸太を割くところを見ているとワクワクする。

ところが製材所の現実は厳しい。この十年ほどで、お付き合いのあった近くの製材所が随分失くなってしまった。富士見町にあった2軒の製材所も辞めてしまったし、茅野や白州の製材所も廃業してしまった。いずれも後継者不足が原因だ。仕方のないことだが残念でならない。

 

地域の製材所が店仕舞いをする直接の原因は後継者がいないことかもしれないが、建築の仕事自体、製材所を必要としなくなっていることが根本にある。特に、住宅メーカーの家はすべての材料が工業製品(大手メーカーからの直送品)で、地域の産業を必要としていない。かろうじて地元の工務店・大工さんで頑張っているところが、たまに製材所に注文を出すくらい。それでは存続できるわけがない。

でも、そんな時代の流れに逆らうように、まだまだ頑張っている地域の製材所がいくつかある。ぼくも未だにそうした何軒かの製材所とお付き合いがあり、仕事を頼むたびにいつまでも頑張って欲しいと願わずにはいられない。

そんな製材所に一つに、今回も二本の丸太を持ち込んだ。裏の山で立ち枯れたナラの丸太。切り倒してストーブの薪にしようと思っていたが思い直し、今改修している古い加工場の玄関框にすることになった。ナラは重量があり硬く、加工も大変だし虫が出る危険性もある。人の家では躊躇するが、今回は自分のところで使うのでそれもまた味として受け入れられる。何よりも表面の美しさは、ナラにしかない模様と雰囲気があり、存在感も半端ではない。大きな玄関の框にはもってこいだ。

製材機を動かすのは、まさに男の仕事(女性を差別しているのではありません)という感じで、なんともカッコいい。機械を動かしている人(職人さん)も、そしてその機械(製材機)も年齢を重ねて深みと渋さがあり、昔は建設業会において花形の職業だったような気がする。そんなカッコいい製材の様子、動画でどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=JKFMmwmQ2cg&feature=youtu.be

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