昨年、防火の大臣認定を取得した瀬戸漆喰の壁。
今年は、準耐火の認定に向けての試験が始まった。
東京にある実験施設で試験が行われるということで、見学させて頂いた。
試験をする施設がこちら。
僕が着いた時、試験体に温度計をセットする準備が行われていた。
今回は、室内側の壁(燃やす側)に15ミリの本実の杉板が張ってあり、断熱材はウールブレス、そして外壁側に瀬戸漆喰という仕様での試験。
徐々に関係者が集まりだし、時計の針を12時にセットして、いよいよ点火。
内側に杉板が張ってあるためか、点火直後から煙が出始めた。
12分経過。
側面の小窓から、内部の様子を確認することが出来る。
木材は通常、1分で約1ミリの速度で燃えていくと、この実験のコーディネーターである防耐火のスペシャリストである安井さんが解説してくださった。
実験を見守る関係者。
20分経過で、この状況。
実験室内は木を燃やした香ばしいにおいの煙が充満して、ずっと中にいると咳きが出たり目が痛くなったりして、時々新鮮な空気を吸いに外に出たりしたが、嫌な感じは全くなく、焚き火の側にいるといった風情。
試験自体も大成功で、表面の温度や瀬戸漆喰壁自体の強度も、この日の試験は全く問題なかったようだ。
翌日、同じ試験をして、データを基に申請という流れになるそうだ。
ここからはおまけ。
点けた火は消さなければならない。
試験体を取り外す。
外気に触れると一気に火の勢いが増す。
きっと実際の火事は、こんなものではないはず。
向きを変えるとこの状況。
施設の職員の方が、水を掛けながら消化作業。
鎮火の後、近くに行って触ったり叩いたりしてみたが、漆喰は全くと言っていいほど無傷。
木摺りも半分以上燃え残っており、この工法が火災に対しても素晴らしく機能することを実感した。
この工法のもう一つの大きなメリットは、燃えた時にビニール系の材料を燃やした時の、あの嫌なにおいや、猛毒のガスが発生しない点。
もしこの実験に新建材が使われていたら、作業されている方はもちろん、見学者もガスマスクがなければ、近寄ることも室内にいることすら出来ないはずだ。
新建材から出た煙は、吸い込んだ瞬間に人は倒れてしまう。
昨年に続き、今年も認定に向けた燃焼の実験に参加させてもらうことが出来、とてもいい勉強になった。
実際こうして壁が燃えるという場面を観察するという機会はほとんどなく、たとえ実験ではあっても、自分たちが作る壁が燃えた時にどうなるかということを体験することは、とても有意義なことだと感じている。
更にこれで認定が取れれば、また一つ瀬戸漆喰の可能性が広がるわけで、より多くの人に使ってもらえる機会が増えることに繋がる。
少しでもその手伝いが出来れば嬉しいし、これからもこの材料を使い広めていきたいと思った。
ご一緒してくださった関係者の皆さん、ありがとうございました。